新人向け1年目研修
重症心身障害児施設は一般の病院勤務とは異なる点が多いので、事前に必要な知識や技術を学ぶための研修を実施している場合が多いです。どのような新人向け研修が行われているのか、一例を紹介します。
研修の流れ
4月に入職し、まずは「基礎」「技術」「コミュニケーション」の項目に分けて研修が実施されます。この研修で基本的な内容を学んだ後に、プリセプターシップによる個別の指導が始まります。3ヵ月~6ヵ月の間に現場で必要な知識や技術を学び、定期的に自身の業務を見直していきます。現場で分からないことがあれば、放置せずに質問していく姿勢が必要です。そして翌年の2月にこれまでの振り返りと今後の課題をテーマにしたレポートを作成し、提出します。その際に2年目に向けた目標設定をします。
基礎研修では座学と演習を交えて知識を学んでいきますが、特に重点を置かれているのが実体験を通した学習です。おむつの当て方や食事介助の方法など、実際に手を動かさなければ理解できない内容を学んでいきます。
コミュニケーションが重視される
1年目で目標となるのが、利用者とコミュニケーションがとれるようになることです。利用者にとって一番身近な存在は看護師です。そして、リハビリスタッフや栄養士などと連携しながら利用者の状態に変化がないかを注意深く観察していきます。そのため、些細な変化を見逃さない観察力が求められます。さらに、利用者と円滑なコミュニケーションがとれるようになれば、利用者の精神的な負担の軽減につながります。利用者から笑顔が生まれる瞬間に立ち会うことができれば大きなやりがいにつながり、業務に対するモチベーションを保つことができます。そのため、新人看護師の教育においてはコミュニケーションが重視されるのです。
研修内容
「事故防止研修」では、危険な場面を想定して考える力を養います。医療事故を防ぐための知識と事故発生時の対応について、危険予知トレーニングを通じて学びます。また、事故報告書の書き方や位置づけについて学びます。
「コミュニケーション研修」では数名のグループに分かれて重症心身障害児役の人にお題を渡し、ほかの参加者がお題に書かれているニーズを汲み取るという訓練を行います。例えば言葉が話せない設定で、「外で散歩をしたい」というニーズを表情やジェスチャーで周りにアピールし、周りはなにを伝えたいのかを汲み取るといった内容です。目が見えない、身体の一部しか動かせないなど状態は様々なので、具体的なイメージを持ちながら利用者とのコミュニケーションを学んでいきます。